東京・青山で野菜を育てながら自然との共生を学ぶ
「ののあおやま おくじょう菜園」

使用事例

2023.07.11

土のない場所でも菜園作りができるベジトラグは、単に野菜を作るためのプランターとしてだけでなく、都市でのコミュニティ形成や学びの場としても活用されています。どこでも手軽に設置できることに加え、作業の負担を軽減するバリアフリー設計であることも幅広い人々にフィットし事業促進の一助を担います。

都心にありながら、自然あふれる複合施設「ののあおやま」の取り組みとベジトラグを使った屋上菜園をご紹介します。

自然との共生をテーマにした東京・青山の新しい街「ののあおやま」

ランドスケープデザイナーの平賀達也氏が全体デザイン監修を行い、
東京農業大学客員教授の濱野周泰氏から樹種選定のアドバイスを受け計画された青山の森「ののもり」。

2020年、東京・青山に生まれた「ののあおやま」は、229戸の賃貸マンションとサービス付き高齢者住宅、保育所、児童遊園、地域交流拠点、レストランやショップなどで構成された複合施設です。最大の特徴は、東京メトロ表参道駅から徒歩5分という立地にありながら、3,500uという巨大な緑地空間を有していることです。

森の中には人がくつろげる場所がたくさん用意されている。

ケヤキやコナラなどが心地よい緑陰を作るこの空間は、「ののもり」と名付けられ、住民はもちろん近隣で働く人や買い物客のくつろぐ姿が森のあちこちで見られます。ずっと昔からあるようなこの森は、老朽化した都営住宅、青山北町アパートを高層・集約化したことにより生まれたもので、明治神宮など周辺地域の植生や生態系に基づき、多様な生物が持続的に生息できるよう緻密に計画されています。

多世代が一緒に野菜作りを楽しむ「ののあおやま おくじょう菜園」

ここで2022年からスタートしたのが「ののあおやま おくじょう菜園」。レイズドベッドプランター「ベジトラグ」1基を1組ごとで使い、現在9組の参加者が野菜づくりを楽しんでいます。

夏に向けてベジトラグ内ではミニトマトや枝豆、オクラ、インゲン、甘長トウガラシ、モロヘイヤ、バジル、ルッコラ、シソ、ニラなど1家庭で楽しむのに十分な野菜がすくすくと育っています。

これらの野菜は、野菜生活研究家で「やさいのいろは」を運営している鈴木富樹子さんが野菜同士の相性などを考慮してセレクトしており、参加者は月2回の講座で鈴木さんから有機栽培の手ほどきを受けながら、安心して野菜作りを進めることができます。

菜園を訪れる虫たちの種類や役割を参加者に説明する講師の鈴木さん。

参加者は「ののあおやま」の住民のみならず、近隣の家族も多く参加しています。野菜作りは初めての人がほとんどですが、自分で育てた野菜の味に感動し、2期連続で利用している人もいます。

「サラダミックスのタネをまいて、間引いた葉っぱを初めて食べたときは味が濃くて驚きました。子どももここで一緒に育てた野菜はとてもよく食べてくれますね」と参加者の1人は話します。

家族で近隣から参加している親子。美味しい野菜を育てるために苦手だった虫も「前より平気になりました」とパパ。

自然との共生を学ぶ有機栽培

「ののあおやま」全体のエリアマネジメントを行っている水野成美さんに、この菜園についてお話を伺いました。

ー「ののあおやま」に菜園が生まれた経緯を教えてください。

水野:
もともと、再開発にあたってエディブルガーデン を作るということが計画の一つとされており、この屋上菜園はそれを実現したものです。でも、この菜園は単に食べるための野菜を栽培するだけの場所ではないんです。
※ 野菜やハーブ、果樹など食べられるものを主体に植栽した庭

樹木には子どもたちが作った巣箱がかけられており、実際に野鳥が巣作りもしている。

ー 菜園が街づくりにどのように関わっているのでしょうか。

水野:
「ののあおやま」の街づくりのテーマの一つは、『自然との共生』です。ですから、この菜園も生き物を活かした有機栽培を基本としています。有機栽培では野菜を食べる害虫も発生しますが、それを食べる益虫も現れます。
土壌にも目には見えなくてもいろいろな生き物が棲んでいて、彼らが野菜を美味しく育てるのを手伝ってくれるんです。

こんなふうに野菜を育てながら、自然の生き物たちの存在や働きを知り、それらがすべて人の暮らしに関わっていることを体感してもらうことこそ、この菜園の大事な役目です。
※人間の生活に役に立つ虫

子どもたちに野菜の絵本を読み聞かせる水野さん。

ベジトラグでバリアフリー菜園を実現

ー ベジトラグが選ばれた理由は何だったのでしょうか。

水野:
一つは機能性ですよね。菜園は新しいこの街のコミュニティ形成の場として、さまざまな世代の方に参加していただくのが目的の一つでもあります。参加者のなかには車椅子利用者の方もいらっしゃいますが、ベジトラグはプランターの下に足が入るスペースがあるので、植物に近づいてみんなと一緒に作業することができます。

菜園に用意された椅子に座ったり立ったりして、小さな子どもたちも菜園作りに参加している。

地面での野菜作りでは、しゃがんだり立ったりという動作が多く、膝への負担がかかりがちです。一方、ベジトラグは高さがあるため、立ったまま、あるいは椅子に座ったまま作業できます。これにより作業のハードルが下がり、より幅広い人々がバリアフリー環境で野菜づくりを楽しめる菜園が実現しました。

都会の街の表情にフィットするおしゃれな菜園

整然として美しい都会ならではの菜園。

ー 機能面のほかに魅力を感じていただいた部分はありますか?

水野:
もう一つはデザイン性です。青山という街に似合うおしゃれなデザインで、なおかつ自然を感じるような木肌を生かしたナチュラルな外観も採用のポイントでした。

支柱には竹を使ったり、誘引にも麻紐を選んだり、なるべく自然素材のものを使って、菜園全体の景観を美しく、周囲の豊かな緑とも調和するように心がけています。

緑豊かな都市の街づくりに貢献するベジトラグ

「ののあおやま」の取り組みと屋上菜園をご紹介しました。都市のあちこちで再開発が行われ、その多くが緑豊かな環境をテーマとする現代。利便性の高さに加え、豊かな緑環境は都市部で暮らすことに新たな価値を生み出しています。

ただし、ハードウェアとして緑環境を用意するだけでなく、生き物である緑を育て、後世へ引き継いでいくためには、その価値や意味を人が理解し、関わり続けることが不可欠です。

「ののあおやま おくじょう菜園」の取り組みは、人が自然との共生の本当の意味を理解するためのいわばソフトウェア。土のない場所にも簡単に導入できるベジトラグは、ソフトの可能性を広げる便利なツールとして機能し、緑豊かな都市の街づくりに貢献します。

[取材]ガーデンストーリー

商品情報
ホームベジトラグL

information

水野成美さん

市街地開発株式会社専務取締役、株式会社たりたり代表取締役社長、一般社団法人まちづくりののあおやま理事。衆議院議員である叔父(故・大塚雄司氏)の秘書を約13年間務めたあと、叔父が設立した北青山のビル管理会社、市街地開発株式会社の役員に就任。現在は「ののあおやま」全体のエリアマネジメントとともに、街づくりの活動を行っている。

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